直感的にわかるようになるお手伝い
「マルチタイムフレーム分析」なんだか、面倒で難しそうと思っていませんか?
FXトレードをはじめて1年、最近になってようやくマルチタイムで相場をみる必要性や、分析の考え方が腑に落ちた気がしています。
この「わかったかも!」という感覚をお伝えできないかとパワーポイントのアニメーションを駆使してして動画にしてみました。内容はブログと同じですが、動きがあったほうがイメージしやすいと思うので、動画も一緒にご覧ください。
マルチタイムが必要な理由

マルチタイムな視点が必要な理由を私なりに説明します。
長期の時間足チャートをみていて、陽線だしと安心していたら、次のローソク足で逆行。びっくり!!ということはないでしょうか。
私は、FXトレードをはじめたばかりのころ
「今、どっちに動いているのかをみていないと“不安” 」で
値動きの最新情報を求めて、5分足→1分足→はてはティックまでみていました。
さすがにティックは方向感がわからなくなるので、1分足をみてトレードすることが多かったのです。ところが、短期足だけをみていると
- 値動きが激しくみえるので、翻弄されて損切→入り直してまた損切、往復びんた
- 短期足では指標がでていないころで、なぜか反発
など、失敗を多数経験して、大きな流れをわかった上でトレードしないと、儲ける立ち回りはできないと痛感しました。
最新の値動きをみているんだから、全体としてのトレンドもわかりそうなものですが
ミクロだけ細かくみていると、マクロ(全体)がみえなくなります。

理論としては同じではない思いますので、少し変な例えですが、
窓も階数表示もないエレベーターにのっていると想像してください。
上にいっているのか、下にいっているのか、はたまた止まっているのか確実にわかる自信ありますか?
エレベーターの外から全体をみれば、簡単にわかることが
エレベーターの中にいると、わからない
逆に
エレベーターの外にいる人からは、中に誰がいて、何をしているのかはわからない
- マクロな視点:エレベーターどちらに動いているか
- 中間の視点 :誰がのっているか
- ミクロな視点:その人物は何をしているのか、機嫌はどうか
と複数の視点でみることができれば
- マクロな視点:(自分は1階にいて)エレベーターが下りてくる
- 中間の視点 :キライな上司が乗っている
- ミクロな視点:上司は、自分のミスのせいで機嫌がわるい
となれば、一目散に逃げる(笑)という正しい判断ができるわけです。
という感じなので、マルチタイムフレーム分析(複数の視点での相場観察)はトレードで自分を守るのに必要だと思っています。

為替の値動きは、波を描きつつ、上昇下降を繰り返しているので
大きな流れでは、上昇トレンドであっても、小さな流れでは下降トレンドやレンジの動きであることもあるわけです。
どの時間帯も同じ動きで、上昇しかないのであれば、一直線の右肩上がりのチャートになってしまいます。
テクニカル指標は、今みているチャートの時間足でみえている判断基準以外にも
他の時間足でみたらトレンドが違っていたり、レジスタンスやサポートの価格帯があるわけです。
「そのほかの時間足の情報もいただいちゃおっ!」
というのが、マルチタイムフレーム分析と理解しています。
それぞれの視点はつながっているので、感覚でミクロ⇔マクロを行ったり来たりできるようになると相場を分析する力が向上するんじゃないかなと思います。
慣れてくれば、チャートを切り替えつつ分析できると思いますが
はじめのうちは、「どこがどうなってんだか」という状態になりがちです。
ここでは移動平均線を使って、なるべくシンプルに説明し、マルチタイムのイメージがなんとなく頭にうかぶところを目標にしています。
チャートの種類

最初にチャートについて少しふれておきます。
日本では、「ローソク足」チャートを使用しないトレーダーは少ない印象です。
「ローソク足」は情報が多い分、トレンドが読みにくい面もあります。
海外では「終値」だけをプロットしたシンプルな「ラインチャート」というチャートを使う方も多いようです。
「ラインチャート」はシンプルなので全体の値動きが掴みやすく、トレンドが読みやすい反面「高値」「安値」といった情報が一切わかりません。
「移動平均線」は、「終値」の平均、つまり「ラインチャート」の凸凹をならしたものといえるのでよりトレンドが明確に表示されます。
証券会社チャートのデフォルト設定に多い「ローソク足」と「移動平均線」の組み合わせは、両方の良いところどりができるということだったんですね。
「移動平均線」の基本

「移動平均線」は、過去の一定期間の終値を平均してつないだ線をいいます。
たとえば、「5移動平均線(5MA)」なら、過去5個分の終値を平均した値になり、データが生成される毎に算出します。
今回は、マルチタイムフレームが主役の回なので、「単純移動平均線(Simple Moving Average:SMA)」を使用しますが、「指数平滑移動平均線(EMA)」「線形加重移動平均線(LWMA)」など、応用版の移動平均線も存在します。
引け際に大きく下落した場合など、「終値」だけをチャートにプロットしたとしたら、実際に感じる値動きとは違うイメージのチャートになります。ローソク足をつかったり、平均線をつかったりすることで、より多くの情報をチャートに落とし込むわけです。
「終値」あれこれ
テクニカル指標にはトレーダーが意識することが多い「終値」を使うことが多いようです。
この「終値」
一口にいっても価格の対象や、データ作成元によって、決め方が異なるようです。
例えば、日足の場合だと
- 日本株:東証15:00、名証・札証・福証は15:30
- 米国株:現地時間の16:00
- 為替:アメリカ東部 夏時間帯 期間は、日本時間の翌午前6時
冬時間帯 期間は、日本時間の翌午前7時
※夏時間帯:月の第2日曜日から11月の第1日曜日までをいいます。
が終値となる場合が多いようです。
普段なにげなく使っているテクニカルも、仕組みかがわかってくると
「移動平均」には「終値」の情報しか含まれていないのね。
データ作成元によって、終値の取り方や、計算方法に違いがある可能性もあるんだ。
という気づきがあります。特徴をよく分かったうえで利用していきたいと思います。
相場の場合、「みんなが何をみて判断しているか(大衆心理)」が大切なので、みんなが「終値」をみているなら、「終値」をみてトレードすればよいと思います。”完全な正しい情報”に拘る必要はないのかなと思います。
「ローソク足」のきほん

「ローソク足」の基本をさらっておきましょう。「始値」と「終値」で実体を表し、そこから「安値」「高値」がはみでた場合にヒゲが作成されます。
- 「終値」が「始値」より高ければ、陽線
- 「終値」が「始値」より低ければ、陰線
になりますが、間にどのような動きをしていても、同じ4つの値の組み合わせなら同じ形のローソク足になります。
ローソク足1本ができあがる一定期間の長さにより、
月足・週足・日足・4時間足・1時間足・5分足・1分足・・・などがあります。
“マルチタイム”とは、“異なる時間足”と読み替えてよいでしょう。
今回は、「移動平均線」にフォーカスして「マルチタイムフレーム」をイメージするので、「終値」を使います。
異なる時間足のイメージ

次に異なる時間足どおしの関係をなんとなくイメージしてみましょう。単純化するために、ヒゲは除いています。1分足、5分足、15分足、1時間足でみてみましょう。
- 赤色の足:1分足
- 青色の足:1分足×5本=5分足
- 緑色の足:5分足×3本=15分足
- 黄色の足:15分足×4本=1時間足(60分足)

ローソク足が1本できあがるまでのイメージがつくようになると、
長期時間足の中に、中期時間足、その中に短期時間足が、マトリョーシカのように入っているイメージが頭の中に描けるようになったのではないでしょうか。
1時間足の中に、1分足が60本イメージできたら合格です!
ブラウザで地図を拡大縮小するイメージにも近いですよね。
『5分足5MA=1分足25MA』はホント?

頭の中でマルチタイムがイメージできても、別の時間足のテクニカル指標を確認するのにチャートを切り替えるのは面倒です。
1分足チャートに、5分足チャートの5MAを表示できないの?
- 5分足の5MA=5分毎の終値×5個のデータの平均
- 1分足の5MA=1分毎の終値×5個のデータの平均
なので、当然ながら結果は異なります。どちらの値も、そろぞれの視点でサポートやレジスタンスにある可能性があることになります。この異なる指標を1つのチャートで一度に確認できたら便利ですよね。
5分足の5MAは1分足で考えてみたら
1分毎の終値の”5個目のみ”を取り出して平均した値です。
つまり、1分足で5回終値が同じ価格だったと考えて平均した値と同じになります。
1分足チャートに表示する5分足の5MAは、5分足の終値の5倍を25でわって、分単位の平均した値ということになります。
25分は1分が25個なので、1分足チャートに25MAを表示させれば、1分足チャートで5分足の5MAをチェックすることができることになるわけです。
理屈がわかってしまえば、機械的に計算した結果の移動平均を表示させればよいことがわかると思います。
『表示させる移動平均線の時間数』(25MA)
=『表示したい移動平均線の時間数』(5MA)
×『表示したいチャート足の時間』(5分足)※単位をそろえる
÷『表示させるチャート足の時間』(1分足)※単位をそろえる
チャートを拡大・縮小する

国内証券会社のチャートだと、表示できないMAもあったりするので
その時は、チャートを拡大縮小して、同じような形にすれば比較しやすくなると思います。
TreadingViewで、ドルインデックスの日足と月足を同じ範囲になるように縮尺をかえて表示してみました。時間軸が異なっても、つながっていることや、マトリョーシカ状態がみてとれます。